ミス・サイゴン1回目

再演することを12年も待ってしまったというこのミュージカル、ようやく見ることが出来たので、その感想を書いてみます。自分が高校生の時にやっていたのですが、見に行くことが出来なくて悔しい思いをしていたのでとてもうれしいのですよ、再演が。大好きな演目でCDを繰り返し繰り返し聞いていたのでほとんどの歌詞を覚えてしまったほど。ま、それが観劇の際にかなり悪影響を与えてしまったのですが、それは後ほど。

ミス・サイゴン 8月27日ソワレ 17:15開演

主なキャスト(敬称略)
エンジニア:筧利夫 キム:松たかこ クリス:石井一孝
エレン:ANZA ジョン:坂元健児 ジジ:杵鞭麻衣

今日が初サイゴンなのでどきどきわくわくしながら開演5分前に席に着いたところ驚きました。今日の席は東宝ナビザーブで安く手に入れた席だったのですが自分の前の列がすっきりさっぱり。つまりがらがらだったのですよ。ナビザーブで扱うくらいだから売れてない日なんだろうなぁとおもっていたけれどここまでとは。結局開演してからも客はこなかったので前の人の頭を気にすることなく見ることが出来たので非常に快適でした。
ヘリコプターの音が鳴り響きミス・サイゴンスタート。もうこれだけでうれしくて涙があふれてきましたよ。だって12年ですよ、12年。これだけ待ってたら目の前でサイゴンが演じられているだけで感激。うれしいのです。
始まってすぐ気がついたのがオーケストラの音が薄いこと。CDに収録されている時より人数がほぼ半減されたことによるものと思われます。管楽器は各パート一人、弦楽器も昔は10人いたのにこれも各パート1人ずつで4人。シンセで補っているとはいえやはりなんだか迫力不足。ま、CDに比べてということなのですぐなれましたが。
一番最初のソロ、杵鞭麻衣さんのわが心の夢、よかったと思いますよ。でも、特記事項なし。「夢、探そう夢〜」も薄くならないし、伸びやかだったしで不満なし。それより、そのあとの松さんの歌が気になりました。12年聞き続けた本田さんの声が頭に残ってしまっていて、歌いまわし、歌詞共に松さんのものと違ってしまっているので違和感ありまくり。松さん独特の歌い方は、キムにとてもあっていたのですが聞き過ぎたCDのせいでいろいろなところで「あれ?」って思っちゃったわけで。
筧さんのエンジニア、普段のバラエティ、ドラマの筧さんを想像して、少し心配していたのですがきっちりとエンジニアしていたのでびっくり。周りの出演者よりも少し小さく見えて、なんだか「子悪党」的なエンジニアでした。注目の「アメリカンドリーム」も想像ではもっと「いけてない」エンジニアになるかと思えばしっかりきっちりエンジニア。さすがオーディションを通ったということですね。CDを聞き過ぎた弊害もエンジニアに対してはそれほど大きくはなかったようです。
石井さんのクリス、いうことなしですね。風と友に去りぬのアシュレー、レ・ミゼラブルのバルジャンをやった時に感じた違和感ではなく、レ・ミゼラブルのマリウスをやった時のような彼の声質にあった役柄、音域で素晴らしいクリスでした。2幕のルームナンバー327のホテルでのあの、独白、感激!「あーのーむすめまもれないか、オレアメリカン!」ブラボーですよ。サイゴンの中で大好きな場面の中の一つだったので非常に満足なクリスでした。
そのクリスの上官であるジョンは坂元さん。一番の注目であるブイ・ドイ。こーれまた素晴らしい演説でした。東宝のホームページで聞くことの出来るあれより数倍よかったので満足満足。石井クリスとやり取りがどれもこれもなんだかいい感じ。
さて、ここまではよかったなぁとおもったのを書いてきましたが、先ほども書いた通り、CDを聞き過ぎた弊害としてあまり・・・に思ってしまっただったのを少しだけ。
松さんのキム、全体的にはよかったのですが、ラ・マンチャの時のアルドンサ、モーツァルトの時のコンスタンツェと比べて迫力が半減してしまった感じでなんだか残念な感じがしました。以前[観劇記]ミス・サイゴンにいこう(http://d.hatena.ne.jp/Tantan/20040402#p1)で予想したとおり例の二幕のあの場面ではすごい迫力があってよかったんですが、ミュージカルは歌!な私なのでかなりがっかり。キムの悪夢の大使館の場面、もっともっと激しく歌ってほしかったなぁと。
ANZAさんのエレンは特にがっかりしてしまったのですが、それもこれも帰ってきてから思ったのですが鈴木ほのかエレンがうますぎたからなのではないかなと思います。CDの鈴木エレン、むちゃくちゃうまいのですよ。ANZAさんも少しハスキーで、それでいてソフトなやさしい声の持ち主で、あぁ、いいな、と思える場面もあったのですが自分の一番好きな場面「今、彼女にあった」での伸びのない歌いまわしにがっかり。特に「わかるは〜つらいはずよ〜でも奪われるならば〜私たたかうわ〜」の出ない高音、伸びないフレーズにしょんぼり。調子が悪くて休んでいたということなので本調子じゃなかったのかもしれないということで次回の公演に期待です。
トゥイのtekkanさん。これまたCDの山形さんのだみ声の迫力が耳に残っていたので迫力不足に感じちゃった模様。悪いとは思わないんですけどね。キムの悪夢の白塗りトゥイの場面もよかったし。
さてさて、がっかりしたことばかり書いているのもよくないので全体的に思ったことを。
今回の公演では歌詞がいろいろと前回と変わっているようですね。クリスが自分のことを「僕」から「俺」に変えた他、さまざまなところでよりわかりやすいようにかわっていました。CDを暗記している自分にとっては違和感でしかないのですが(笑)
ミス・サイゴンという作品、やはり扱うテーマが暗いだけに見終わったあとのすっきり感というものはあまりありませんね。だって、キムが(自主規制)してしまうなんてあんまりですもの。でも、泣ける作品であることは確かですね。特に、キムとエレンがはじめて会う場面なんて絶対泣けます。(私、キムが部屋に入ってきたところからぼろぼろでした。)キムがトゥイを殺してしまう場面「さわらないで〜」から「大地が回る運命がまわる感じない何も」あたりの音楽の盛り上がりなんかも最高。殺しちゃったあとの松さんの絶叫、あれ、そういえばよかったな。「命をあげよう」これなんかも泣けますね。キムからタムに向けたメッセージをがっしりと劇中でつかめた人だったらこの歌のもつ意味を考えるとそれだけで泣けると思います。
大使館からの脱出のシーンのヘリコプター、実際に目にするとやはりでかいし迫力ありますね、あれ。ちゃんとローターがまわっているのがびっくりでした。舞台装置についてですが、写真でみるものよりも実際は結構簡素な感じがしましたね。キャバレーの場面、ホーチミン像のところはさすがに派手ですが、それ以外の場面は必要最小限といった感じで意外に質素。次はもう少ししっかり見ておきます。
終演後にオケピに挨拶に行ってから帰宅。今度の火曜日は知念キム、市村エンジニアなのでこれまた楽しみ。またレポートします。とりあえず今回はこんなもので。何か質問などありましたらコメントつけてくださいな。