レ・ミゼラブル

2001年2月15日 18:15開演
キャスト(主な出演者のみ)
ジャン・バルジャン  山口祐一郎
ジャベール      川崎 麻世
エポニーヌ      本田美奈子
ファンテーヌ     岩崎 宏美
コゼット       堀内 敬子
マリウス       石井 一孝
テナルディエ     斎藤 晴彦
テナルディエの妻   森 久美子
アンジョルラス    岡 幸二郎

本日2回目の観劇である。マチネが終わったあと、眠気覚ましのために上野までちょっと足をのばしてみたのだが驚いた。

「上野?」

ずいぶんと上野駅も変わったものだ。丸井側の風景が、10年前と全く違う。見渡すとほとんどが高架。
今までこんなのあったっけってかんじ。ちょうどその高架の途中にベンチがあったのでそこで有楽町で買ったサンドイッチを食べた。このサンドイッチ、マチネが始まる前、有楽町に着いたときに買った物なのでちょっと心配だったのだが・・・

そして、しばらく時間をつぶしたあと、帝国劇場に戻ったわけである。

さて、今度の席は『立ち見席』であった。つまり、階段の部分に座って見ろという席。
どこが「たちみ」なのだ!とつっこみたくなった席なのだが、黙って座ることにする。
先ほどはオペラグラスを借りずに肉眼で見ていたのだが、今回はさっきよりもさらに遠くなってしまったのでオペラグラスを借りてきた。
5000円の保証料プラス500円で5500円。窓口に返すときに5000円戻ってくる仕組みである。
なるほど、オペラグラスを使うと舞台の隅々までよくわかる。もう少し早く気付くべきだったか。それにしても眼鏡をしているのでそのままでは見にくい。これもまた我慢だ。
暗くなったので自分の番号の階段に座ることにする。(通路なので始まるまでは座ることができなかったのだ)
いざ座るとなかなか舞台をよく見ることができそう。立ち見席って実は穴場?

『第一幕』

「じゃ、じゃーん♪」

もう4回目なのに「やっぱり」ときめく。さっきあれだけさめたエンディングを体験したっていうのにおかしな感じ。
たぶんこの感じは一生続くんだろうな。ミュージカルの始まるときの雰囲気、大好きだ。

さて、今回のジャベールは川崎麻世さん。

「やつをここへ呼べ〜」

ふむふむ、やっぱりいい感じ、かっこいいね。これこそジャベールって感じかな。でも、本来は職務を全うするためのがっちがちな将校というイメージの方が原作に近いんだろうけど、なんか、何度も見ているうちにかっこいいジャベールに惚れてしまったらしい。いいねえ、かっこいいの。かっこいいといえば、鈴木綜馬ジャベール、もう一度見てみたい。

ジャベールの相手、ヴァルジャンは山口祐一郎さん。

「きた〜!!」

って感じだね。やっぱりいい声だ。数年前に山口さん山口さんといっていた友人の言葉を思い出すよ。当時の私は山口祐一郎さんを知らなかったので何であんなに騒ぐのかわからなかったわけ。今はよーくわかる。うんうん。
高音ののびなんかもう聴いていて鳥肌が立つ。前回聴いたときに気になった語り口調の歌い方も、今回は慣れて心地よくなったみたい。
オペラグラスを借りてきたので「今こそ〜自由だ〜」と歌い始め、泉で水をくむところで山口ヴァルジャンの表情をじっくりと見てみたのだが驚いた。

「なんて細かい演技をしているんだ!」

ホント、ミュージカルを安い席で何度もみることによって、ミュージカルを見た気になっていた自分が恥ずかしい。演技があるからミュージカルなのだ!誰かがいっていたがその通りだと思った。ホント、反省するばかりである。ミュージカルは深い。今日オペラグラスを借りたことによって気付くことができた。オペラグラスよありがとう。

ヴァルジャンが捕まり、司教様に諭され、反省し歌う「ヴァルジャンの独白」、オペラグラスを使い表情を追っているうちに涙が出てきた。

「ジャンヴァルジャンは生まれ変わるのだ〜〜〜〜〜」

もう、山口ヴァルジャン最高である。なんでここでオクターブあげるかな。ヴァルジャンの気持ちがここで声を張り上げることによって強く感じ取ることができる。すばらしい。

工場の場面、ファンティーヌが出てくる。岩崎ファンティーヌである。

「ゆめをみてーたのね〜」(夢やぶれて)

実はこの場面の前奏がとっても好きである。最近伝え聞いた情報によると、日本以外の公演ではこの場面はカットらしい。残念だ。
岩崎宏美ファンティーヌ。もういうこと無しである。鈴木さんのような細かい演技はみられないが、その分、それを補う歌がある。(ものすごく偉そうな発言になってるなぁ・・・)
歌のテクニックに惚れる。「ぁわたし、だいたけど〜」の「け」と「ど」の間の処理。「ど〜」のビブラート。ホント、心地よい。

舞台は代わり、裁判の場面。ヴァルジャンが「誰だ〜俺は〜ジャンヴァルジャ〜ン」と叫ぶところ。「24653〜」のところ。
じわっとくるね、やっぱり。鹿賀さんの時には「おぉ!」って感じで見ているんだけど、山口さんの時はその声質に「じわっ」なのである。

さてベットの上のファンティーヌ、前回見たときよりも弱ってる、演技が深くなっている。これは山口さんとの組み合わせだからなのか?そういえば、前回の山口ヴァルジャンの時も大泣きした記憶がある。山口ヴァルジャンと岩崎ファンティーヌの組み合わせが涙腺をゆるませるらしい。本当にかわいそうだファンティーヌ。コゼットにあうこともできずに死んでしまうのよ、で、お約束で号泣である。

テナルディエ、今回初めて斎藤さんのテナルディエを聴くことができた。CDではもう、耳に残るほど聴いたあの斎藤さんのテナルディエである。独特ながなり声、果たして本物、生はどうだろうとスッごく楽しみにしていたわけ。

「やはり本物だ!」

そう思った。あまりきれいな声とはいえないが、しっかりした歌い方。あんなに汚い声(失礼)なのにそれがまた心地よい。
それがまた眠気を誘う・・・そう、徹夜明けでいったので、そろそろ眠くなってきたわけ。
そして、さらに大問題が。

「お尻が痛い!」

立ち見席はやはり立ち見席だった。本来は立ってみる席なのだ。座っているのが耐えられない、立って背伸びしたい、そんな感じになってしまってとてもじゃないが舞台に集中できる状態ではなくなってきたのである。まだまだ一幕は続くのに・・・
しょうがないので、自分が持ってきたコートを座布団代わりにしてみた。少しはよくなったので集中力を舞台に。

いつの間にか鈴木ガブローシュが登場していた。なるほど、鈴木ガブローシュだ。ここで、私が正直に思った感想を白状してしまおうと思う。

「なんかセクシーなガブローシュだ・・・」

お尻のラインとか、しぐさなど、やはり「女の子」という感じがしてしまったのである。いったい何歳なんだろうか鈴木輝美さん。ホント、色っぽいガブローシュで参った。歌はすごく感じがよくて、今までに聴いた男の子ガブローシュもよかったけど、これもありかなって思った。

そしてコゼットは堀内敬子さん。今回初めて見るコゼットである。オペラグラスで演技を「じー」っと見ていたんだけど、やっぱりいい感じ。このあとで歌うのがとても楽しみだ。

川崎ジャベール、「星よ」でこれまたじっくりと聴かせてくれる。前回聴いたときはマイクの音量がとんでもないことになっていてとにかく声量に驚いたのだが、今回の席では程良い音量で聴くことができたので納得。

マリウスはこれまたCDでじっくり聴いていた石井さん。あぁ、やっぱりこの人の声好きだ。CDを聴いているときにも思ったのだが、軽やかな声がとても好き。岡アンジョルラスとの絡みもすごく自然で気持ちがいい。コゼットについて歌う場面なんて声を聴いていると目がきらきらしているマリウスを想像してしまっておかしい。岡さんもホント、相変わらずいい声をしている。うらやましすぎる。あんな声で歌うことができたらどれだけ楽しいだろうか。

今回、プリンシパル以外の役で気になった役があって、そう、グランテールなのだが、今日のグランテール、とってもよかった。何がよかったとか聴かれるとちょっと困るのだが、今まで4回見た中でいちばんグランテールだったのである。誰だったんだろうか・・・

民衆の歌、肩車されるガブローシュのお尻が気になって・・・あぁそうでうすょ、私はエッチですよ。そんなところしか見ていませんってば。人間、気になったらとことん気になるもんなんですっ!2幕のガブローシュの死に様を冷静に見ることができるか不安だ。

さて、コゼットとマリウス。「心は愛に溢れて」をしっとりと歌い上げる。堀内コゼット、ほんと、評判通りの歌。いい!マリウスを見上げる表情もいい。コゼットもいいがマリウスもまたいい。いちばん好きだな、今まで聴いてきた中では。希望に胸ふくらむ学生って感じがいい。具体的にいっちゃうと。母音「a」の声が特に好き。山口さんもそう、口を大きく開けたときの声がとっても好き。ちなみにtohkoさんは母音「e」のときの声が好き。(ミュージカルではそんな声を出してくれなくて残念だったんだけど)
はぁ、今回はちょっとマニアックなレポートになってるな・・・

そう、エポニーヌを忘れてました。本田美奈子エポニーヌ。やっぱりすばらしいですな。ミュージカルの女王、お姫様と呼びたい。

「ぜにーなどーないの、しってるのさぁーー、じぃいーさんとむーすーめっ、けちなーくらーしーさーぁ」

もう、何度もいうけど、たまりません。この場面大好き。本田美奈子さんのエポニーヌ、ホントはまってるね。登場シーンから「あぁエポニーヌだ」と思わせるところなど、大好き。

でも、ホントに好きなのはやっぱりOneDayMoreのエポニーヌの叫び、

「きょうも、ひとーりーよー」

ですな。もう、あの叫び、心の叫びを聴くだけで「あぁ、ここにきてよかった」と思ってしまう。OneDayMoreがとてもいい曲だというのも理由なんだろうが。
で、山口ヴァルジャンの「あしたーはー」という、すっごくのびのある声ですっきりさわやか。気持ちよく一幕を終えることができた。

さて、一幕をとっても気持ちよく見終えたあとだが、もうお尻が痛くていたくてどうしようもなかったので、すぐに立ち上がって背伸びをしてしまった。いつもならもう少し余韻に浸るところなのだが・・・ガブローシュのお尻が気になったのもそのせい?!

幕間には、いつも通り、二階のコーヒーを買って休憩。それにしても女性用トイレの列には毎度驚かされる。
今日は男性用トイレを一つ女性用に開放していたみたいだが、やはり足りないらしい。もう少し抜本的な対策を打つべきではないのかと思う。

『第2幕』

さて、後半である。さっきお尻が痛くていたくてどうしようもなかったという教訓を生かし、コートの折り畳み方を工夫してみた。あと、もう一段階段を下りてみた。さっき座っていたところよりもすこし視界が悪くなるが、お尻の設置面積が1.5倍くらいになった。これならさっきよりかは持つであろうと思う。

さて、2幕が始まった。いつも思うのだが、本田美奈子さんのエポニーヌが妙に好き。特にエポニーヌのソロ、オン・マイ・オウンを聞くと思う。
「愛してる・・・」
このせりふをここまで情感たっぷりに歌う人は他にいるのだろうか。ちょっと芝居が大きすぎるので嫌いな人もいるようだが、泣かされるのが好きな私は本当に好きなのである。本田美奈子万歳だ。

学生たちのやりとり、いつもと違ってあまり冷静に見ていられなかった。なぜか。

「お尻が痛い・・・」

立ち見席はもう安くてももう取るまいと今日誓った。せっかくコートの折り方を工夫したり、座る位置を変えたりしたのだが、結局あっという間に痛くなってしまって芝居どころじゃなくなってしまった。
実際、ガブローシュの印象がほとんど無い。いつの間にか死んでしまっていたっていうかんじ。
ただ、死ぬ際の演技が他の少年ガブローシュに比べて深かったということは覚えてる。さすが少女ガブローシュ。

その間にエポニーヌも死んでいるのだが、やはり印象が薄かった。本田美奈子さんのすばらしい歌声だけは覚えているのだが・・・

オペラグラスを今日は借りていたのじっくり見ようと思っていたのにお尻がこれじゃあどうしようもない。絶対に立ち見席はやめよう。

さて、山口ヴァルジャン。オペラグラスで見るとやはり濃い演技をしているので驚く。ジャベールを逃がすときの苦悩の表情、たまりません。
やはり立ち見席よりもS席で見てみたいなと思ったね。(何度も書いていることでわかると思うが、立ち見席は私には非常に酷だった。皆さんも、どうしても見たいというとき以外はとらない方がいいです)

彼を帰して、あまりの声の美しさに気が遠くなった。お尻の痛さと眠気と歌の心地よさが絶妙にマッチして寝てしまいそうになったということ。はっきり言って限界に近かった。今すぐに立ち上がって背伸びがしたいという気持ち、お尻がいてーよーという感覚、すべてが自分を責め続けていたので正直言って劇の内容はほとんど覚えていない。

ただおぼえていたのが堀内さんのコゼットが結構かわいかったということ。前評判で(レミゼファンの感想記)一番コゼットらしいコゼットと聞いていたのでこの最後の場面、どうなるのか期待していたのだが評判通りであった。1幕では愛を歌いあげ、2幕ではパパへの思いを歌う。どちらもすばらしい。山口ヴァルジャンの美しい歌声のあとに「パパ、パパ〜」ときたもんだからやはりじわっときたね。

「わかものたちの〜こえがきこえるか」

あぁやっと終わるのだとこのとき正直思ってしまった。レミゼ4回目にして初のダウンである。恐るべし立ち見席。座ってみるのに立ち見席。
こんなことになるのならほんとに劇場の一番後ろでたってみている方がよっぽど楽だったのではないかと思ったよ。

今回のレポートは立ち見席のせいでほぼ記憶のない状態で書いたのでひどいものになってしまった。反省。