レ・ミゼラブル

2001年2月21日 13:00開演
キャスト(主な出演者のみ)
ジャン・バルジャン:滝田 栄 ジャベール:川崎 麻世 エポニーヌ:本田美奈子
ファンテーヌ:鈴木ほのか コゼット:安達 祐実 マリウス:石井 一孝
テナルディエ:斎藤 晴彦 テナルディエの妻:大浦みずき アンジョルラス:岡 幸二郎

ついにこの日が!千秋楽である。私が見るのはマチネなので本当の千秋楽ではないのだが、今日のキャスト(滝田さんとか本田さん)にとっては千秋楽なので、気合いの入った演技が見られることが期待できる。
千秋楽ということで見に来ている人も相当気合いが入っているように見える。おそらく、レミゼマニアであろう団体がいくつもできていて、それぞれ今日がきてしまったことを話しているよう。

そうか、もう千秋楽なのか。。。複雑である。1月30日に初めてレ・ミゼラブルを、というか、ミュージカルを見て約一ヶ月。はじめはその最初の一回見ればとおもっていたのだが、はまりにはまって今日までにすでに4回も見てしまっている。ミュージカル初心者のやることじゃないなとちょっと反省。実際財布の中はスッカラカン。どうやって生活していこう(笑)

今日の席はX列の21番。一回の最後列、真ん中からちょっと左よりの席で、後ろには壁しかないので結構気楽な席。それでいて二階よりは見やすいのでお気に入りになった席である。
実は、本当はB席の二階のはじっこの席で見る予定だったのだが、うちの母も見たいと言うことで席を探したら偶然この席が見つかり、2回で見たいという母の希望通りそれを譲り、新しくとれた一階のこの席を私が座るということになったのであった。そして、千秋楽は始まった。

今回の感激でようやく初対面となるバルジャン役の滝田栄さん、ものすごい迫力のあるバルジャンであった。すべての動作が「あつい」演技でなんか見ていてうれしくなってくる。これは千秋楽だからなのだろうか。くぅ、今日千秋楽なのが残念だ。もう一度みれば滝田バルジャンの正体がわかるのに。
川崎ジャベールも以前に見たときよりも切れがあるように見える。千秋楽マジックとよべばいいのか、とにかくどのキャストも熱の入った演技に「見える」
実際自分も千秋楽ということで興奮していたので正しい判断ができていたかどうかはわからない。でも、とにかく熱いステージだった。

それにしても滝田バルジャン、よすぎである。CDで聴く100倍はいい。どのバルジャンも(鹿賀、山口)それぞれよいのだが、滝田バルジャンを見たことによってナンバーワンバルジャンが決まってしまった。滝田バルジャンが一番バルジャンっぽかった。今日までの5回のレミゼ観劇のうちにできあがったバルジャン像が滝田バルジャンでぴったりだったのである。
バルジャンの独白、あぁ、このような表現があったのかと、改めて感激!歌ではなく魅せるバルジャン。よく動くバルジャン。

ファンテーヌとのからみもこれまたすばらしい。文章で表現できればいいのだが、私にはあの情景を文章で表現する技術がない。とにかく、よかった。よかったとしかいいようがない。千秋楽の熱気のせいか何を見ても感動してしまい、常にどきどきしっぱなしである。ファンテーヌ、今日は鈴木ほのかさん。相変わらずの細かい演技。そこに滝田バルジャンである。いつもより感激してしまった。鈴木ファンテーヌの時に見ることができるベットからずり落ちる仕草、やはりあれはいい。ちょこっとした演技なのだが、それだけで数倍ファンテーヌの具合の悪さが強調される。死ぬ間際の表情もすばらしい。さすが鈴木さん。

ラブラブマリウスは今日は石井さん。やはりマリウスは石井さんがいいね。一番優しい感じだし声がすき。コゼットに初めてあったときの仕草、エポニーヌとのやりとり、すべてが「愛にあふれて」いる感じ。プリュメ街でのエポニーヌにとびつく仕方が優しすぎて逆に悲しくなってしまうのだが(どうしてもエポニーヌ側の視点で見てしまう)あのぐるぐるがあるとないとでは全然違う。無邪気なマリウスに複雑な気持ちになるのである。

安達コゼットは今日はすっごくよかった。かわいい〜って感じ。「いつも何か探してた私の人生〜」はずさなかったし、とにかくかわいかった。心配する滝田バルジャンの演技もよかったし、今日はすべて文句なし。

テナルディエとその妻、今日は斉藤さんと大浦さん。ほんと、安定してるね。安心して見ていることができる。ただ、熱血あふれる他のキャストに比べると、その安定感のせいですこし乗り遅れている感じがしたのも事実。もうすこし、もう少しなんだよと思うところ数カ所。でも、やっぱりよかったのである。

ワンデイモア、レミゼを最初に見たときと同じくらい感動してしまった。自分が興奮しているだけかとも思ったが、やはり今日は何かが違う。岡さんの熱血ぶりもまたよかった。アンジョルラスは岡さんがお気に入りかもしれない。今さんもすきだけど(というよりも、どちらも美しい声、かっこよさにどきどきなのだが)岡さんの雄叫びにしびれた。ほんと、美しい声で歌えるのがうらやましくてしょうがない。滝田さんの雄叫びが妙に心に響く。アンサンブルが一体となって何かを訴えている、そんな気がする1幕の終わりだった。

さて、休憩中にはいつものトイレの大行列とともに目立つ集団がいた。レミゼフリークの集団。「やっぱり安達がねえ」とかいってた。呼び捨てはよくないっしょ。せめて安達コゼットくらいいってほしかった。ぶらぶらとしていると2幕始まるとのお知らせ。いそいで戻るとする。

2幕では(というか、さっきから書きたくて書きたくてしょうがなかったのだが2幕のレポートまで書くのは我慢しようと決めていた)エポニーヌがすばらしかったのである。
オン・マイ・オウン、終わると同時に嵐のような拍手。いつまで続くんだってくらいくらい長く拍手が続き、さらに、その際には天を仰ぎじっとたつエポニーヌの姿。感動するなって方が無理。本田美奈子さんのエポニーヌ、ブラボーである。あの人は人を感動させるツボを知っている。ミュージカル感激が長い人には少しオーバーに感じるらしいのだが、私にとってはすごくお気に入りな歌い方をするので大好きである。ミス・サイゴン以来のファンである本田美奈子さん。ずっとこの世界で活躍してくれるとすごくうれしい。

川崎ジャベール、他のキャストがノリノリなのでどのような死に方をするのだろうとわくわくしていたのだが、やはりこうくるかという見事な散りようだった。滝田バルジャンとの対決の熱がそのまま残ってそのまま演技しているという感じ。シャウトがいつもより多い感じがした。

やはり千秋楽、どのキャストもノリノリ。見ている方もノリノリ。楽しい時間は過ぎるのが早い。あっというまに全員での合唱が始まり、そして終わってしまった。もちろん私は涙でぼろぼろである。

カーテンコールは何度あったかわからないくらいあり、滝田さんの土下座でしまったという感じだったのかな。はっきり言ってあまりの興奮で覚えてない。ブラボーと周りの人が叫んでいるので便乗して叫んだのだが「ふ、ふらほ〜」なんとも情けないかけ声になってしまいはずかしかった。

最後には「本日千秋楽ありがとうございます」との、大きな幕が下りてきて、何回も繰り返されるカーテンコールはようやくおわりになった。

←あるルートから手に入れたその際の写真。

最後に私のベストキャストを選ぼうと思う。

ヴァルジャンは最終日の印象が特に強かった「滝田」バルジャンを選ぶ。ただ、どのバルジャンもすべて魅力があり、甲乙つけがたいというのを付け加えておく。

ジャベールは美声と激しい死に様が印象的だった「鈴木」ジャベール。川崎ジャベールのかっこよさも印象的だった。

コゼットは歌は聴くに堪えないというすごいマイナス面があったのにそれを上回る演技力でものすごく心に残った「安達」コゼット。ただ歌がうまい、無難にこなしていた他の二人よりもコゼットを演じきっていたような気がする。あとは歌唱力だろうか。たぶん次の起用はないと思うがもし起用されたとしたらさらにうまくなるだろう。ちょっと期待する。

マリウスは「石井」マリウス。各場面での仕草が若々しくて印象に残った。それと声質。よく通る軽めな声が私好み。津田さんは少し柔らかすぎで戸井さんはふつうすぎ。よって、石井さん。

ファンテーヌは難しいがここは演技力を取って「鈴木」ファンテーヌ。ベットで横たわる姿、エプロンをはずす背中、すべて訴えるものがあった。歌唱力も抜群で素晴らしい。でも、岩崎さんの「母の魅力」も捨てがたい。

エポニーヌは勿論「本田」エポニーヌ。この人は素晴らしいのである。

テナルディエは徳井さんの強烈ユーモアにひかれたが、もう一度みたい人はとなると斉藤テナルディエを選んでしまう。やはり安定したものを求めてしまうのだろう。

マダム・テナルディエはやっぱり森さんでしょう。スマートで精悍な大浦マダムもいいが、もう一度見てみたいとなるとやはり森マダムを選ぶ。

アンジョルラスは岡さんかな。これも最終日の印象が強いのかもしれないけど、今さんはすこしリーダーせいが薄い気がした。でも声はきれいだしかっこいい。うーむ、甲乙つけられないな。

レ・ミゼラブルは噂によるとしばらくは上演しないらしい。もう一度やることになったら絶対に見に行こうと思う。そのときは何回見ることになるのやら・・・

レミゼのレポートはこれで終わり。続きを書くことができることを祈ろう。