根性旅行記特別編 贅沢旅行記 振り子電車編2(振り子電車解説付き)2001/9/29 (宿河原〜妙高高原)

さて、今回の旅は根性旅行記特別編、贅沢旅行記である。土日ということなので、土日切符というオペラ座の怪人を見に行ったときと同じ切符を今回も購入、特急づくしの旅をしようと思う。
土日切符は指定席も取ることができるので、全線指定席を取ろうと思ったのだが、新宿発松本(南小谷)行きは満席で取ることができなかった。残念だが、新宿駅始発なので少し早く行けば座れるだろう。
朝8時ちょうどに自宅を出発し新宿には9時ちょっと前についた。中央線特急のホームに向かいホームに着いたちょうどそのときに9時発のあずさが入線してきた。183系のあずさ色(白地にブルーの帯)の車体である。この列車に乗るであろう人々は自由席の列にはほとんど並んでいない。この列車に乗ってしまえば確実に座れるのそうだ。でも、私は鉄道ファン。乗り飽きた183系よりも(とは言っても実際には一回しか乗ったことはなくて、兄弟車の189系あさまに乗り飽きたということなのだが)新鋭振り子列車E351系にのるためにこれにはのらずあと一時間待つことにした。出発まで、まだまだ時間があるのでどこかで時間をつぶそう、そう思ったその時だった。
国分寺駅で人身事故のため・・・」
またかよ、そう思った。この前の京都のときもトラブルで予定が狂った。今回もかよとすでにあきらめモード。長野新幹線にしてしまおうかと考えたのだが、振り子電車に乗るのだと楽しみにしていたのでもう少し様子を見ることにした。どうも全く出発する気配がないのでいったん駅を出て時間をつぶすことに。
さて、どこにいこうか。現在9時20分。確かヨドバシカメラは9時30分開店だった。開店の模様を見ようと西口に向かった。
ついたらちょうど開店。何の行列かは分からないが30人くらいだろうか、デジカメの棚の辺りに行列ができていた。それらを眺めながら一通り回ると9時35分。そろそろ何か動きがあるだろうとホームに行くと先程の9時発のあずさが出発するところだった。37分遅れで出発。ということは10時発のスーパーあずさもそのくらい遅れるのだろうか。ちょっと心配だ。
10時ちょっと前に紫のナス(スーパーあずさ号)が入線してきた。
なんとなくナスに見えるんだよね。ぽてっとした顔が。
放送をきいていると13分遅れで出発とのこと。おぉ、よかった。そのくらいの遅れならば松本での乗り換えに支障は無さそうだ。予定通り15時に妙高高原につきそう。
自由席の列には運よく前から3番目に並べたので車内清掃が終わり次第列車に乗り込む。そして、今回は進行方向に対して左側の窓側に座った。まもなく音もなくするっと出発。前にも思ったのだがこのように静かな出発シーンはちょっと味気無い気がする。昔の特急のような「さあ出発だ」という雰囲気が皆無。せめて出発チャイムを用意してもらいたいなあなんて思う。車内放送の前のオルゴールも鉄道唱歌ではなくなってしまったので残念。あれがよかったのになあ。
ここまで書いたところでちょうど八王子に着いた。ここまではただの特急。ここを過ぎると振り子を効かせた俊足振りが発揮されるので楽しみだ。横浜線が左手に見え、桜木町行きという行き先表示が出ている。八王子で桜木町という表示を見るのはは何か変な感じだ。八王子を10時50分ころ出発。天気はまあまあ。いい景色を堪能しよう。
この列車に乗るの、もう5回目くらいになるだろうか。そろそろ飽きてきてもいいのだろうが、いまだ飽きない。カーブが来る度にドキドキわくわく。鉄道ファンじゃないと多分気づかないことなのだろう。鉄道ファンでよかった。
甲府を過ぎたころから例のごとく眠くなってきた。振り子電車というのはどうしてこんなに眠くなるのだろうか。ゆりかご効果?
さて、私が振り子電車をべたぼめすることに疑問をもち、振り子電車にいいイメージをもっていない地域の人がいるはずである。例えば伯備線のやくも、紀勢本線のくろしお等、旧世代の振り子電車に乗っている人だと思う。それらは同じ振り子電車とは言えど機能に差があり、乗り心地に天と地ほどの差があるのである。
381系と言う、中央西線、つまり今乗っている路線に初めて導入された振り子電車は遠心力によって車体を傾けることにより「自然振り子式」と呼ばれる。こいつがすこぶる不評であり一時期振り子電車不要論が出るほどであったと言う。カーブに差しかかってしばらくしてからぐぐっと車体が傾く様はまるで船のようだと形容された。電車酔いする人が続出することに国鉄も頭を痛めていて、なんとかできないかということで「強制振り子式」と言う、カーブに入る際に強制的に(主に空気圧、油圧が用いられている)車体を傾けることによって不自然さを解消しようと試みたのである。それが今乗っているワイドビューしなのや、先程のスーパーあずさ、四国のしおかぜなのである。それによって車体の振り遅れ揺り戻しがなくなり気づかないくらいの程度まで不自然さが押さえられたのであるが、それでも敏感な人はやはり違和感を感じるようで電車酔いをする人がまだいると言う。
そんな乗り心地の悪い振り子電車をなぜ、わざわざ導入するかというと、端的に言えば速度を上げることによって悪くなる乗り心地を落とさないためなのである。「だめじゃん」今そう思った方は正直である。はっきりいって遅いスピードでは振り子なしの列車の方が乗り心地は上なのである。しかし、競合路線であるバスなどと対抗するためにスピードアップを図り対抗力を付けようとすると問題が出てくる。車内にいる人は強大な遠心力に振られてしまうのである。そこで、それを解消するために振り子機構を用いるのである。振り子機構があることによって本来の遠心力が打ち消されているのであの程度のゆれですんでいるのである。 本来ならば振り子万歳といいたいところなのだが微妙な乗り心地なのでそうはいえないのが現実であろうか。
さて、振り子電車の仕組みなのだが、電車には台車と言って車輪がついているところがあるが、そこにころやボールベアリングを仕込むことによって車体を揺らす機構をつけている。車体の重心を低いところにおいて、すなわち上から糸で釣っている状態にし、カーブで外側に遠心力がかかるとそこから外側に自然に振り出す。この状態を形容して振り子電車と呼ばれるのである。言葉で言うのは難しいのでイラストを参照して欲しい。
(図はしばらくお待ちください)
さてさて、振り子電車の話で盛り上がっているうちに書くことを忘れていたことがある。そう、既にスーパーあずさを降りてワイドビューしなのに乗り換えていたのであった。松本駅には13時に到着。
隣のホームであずさを待ってくれていたしなのにそのまま乗り込んだ。6号車にあわてて乗ったので2号車まで車内を歩いて移動した。禁煙車と喫煙者の壁の色が違う。あまりにも極端でおもしろい。2号車の自分の席に着くと関西弁のシャワーが降り注いだ。シャワーみたいに気持ち良ければいいのだがおばちゃんたちの会話はいちいち気に触った。さながら言葉の土砂降り、である。マイラインの話、全部NTTを選ぶとDoCoMoの携帯が半額になるらしい。ならねえっての。それはKDDIで、しかも半額ではない。適当な話をするなよと思った。しばらくすると慣れたのか、そんな会話も気にならなくなった。不思議だ。
先頭車両1号車が展望グリーン車だのでちょっと覗いて見た。カーブに差しかかると大きく傾く様がよく見える。ものすごく眺めがいいのでいつか最前列、運転士の真後ろに座ってみたいなと思った。
そんなこんなであっというまに長野駅に到着。一度駅を出てちょっとぶらぶら。
長野からは普通列車である。と、その前に時間があったので駅のホームでそばを食べた。そこのおばちゃん、人が何度もお願いしまーすってはなしかけてるのにもう一人の人と話すことに夢中で一向に作ろうとしない。このまま帰ってしまおうかと思ったのが空腹には勝てなかった、そのまま出来るのを待った。そばをゆでる間にもずーっとしゃべり続けついに最後まで客である私にしゃべることはなかった。そんなそばがまずく感じられたのは言うまでもない。
14時19分の直江津行き、車両はまた113系でもう飽きたなーと思って乗り込むと、どうも感じが違う。きれいな感じがする。どうも改造されたばかりのようである。扉の両脇にはアクリルの板がはめられ、中央に花の透かしが入っている。いつの間にこんな改造をしたのだろうか。なかなかセンスのいい装飾である。存在を主張しすぎずそれでいて上品な輝きを・・・なれない言葉はやはり使いにくい。ま、とにかく「いい感じ」だ。
さて、長野からのこの路線は私が一番好きな路線である。出発するとしばらくは林檎畑の中を進みやがて森に入る。川沿いを進む列車はカーブにかかると、特に後ろ側の車両にのったとき前方に自分の乗っている列車が見えてとても美しいのである。速度もそんなに出さないのでしっかり景色を堪能できるので好き。で、最も好きなのが冬のこの路線なのだが今は秋なのでそれは望めない。秋の紅葉にはまだ早かったし、また冬に来たい。
15時ちょうど、妙高高原に着いた。新潟県人のくせに妙高高原駅は実は始めてである。回りの風景を写真におさめて、今回の旅は終わりである。振り子電車についてちょっと多く書いたので今回の旅は「振り子電車解説付き」とすることにした。以前途中まで書いて挫折した「振り子電車の魅力」の代わりにさせていただこうと思う。
ちなみにこの旅の帰りは長野新幹線で普通に帰ってしまったので省略(^^ゞ